先日のチームでのふりかえりが自分の中でとても実りがあり、記録をしておきたいなと思いこの記事を書きました。また、チームとのやりとりは少し脚色を入れていますが、事実にかなり近い内容を思い出せる限り、ありのままで書いております。
こんなチームのこんなふりかえりもあると思っていただけると幸いです。
内容にKPTA(やKPT)を見方によっては否定的にとらえているように感じる部分もあるかもしれませんが、その意図は全くありませんのでご了承ください。
- ふりかえり がいつもKPTAなチームでFun! Done! Learn!を提案してやってみた!
- チームの現状から次のアクションが自然と出てきてとてもよかった!
- チームで傾向を見てどうしてこうなってるかを話し合った!
- 現在の状態とそこから見える課題が可視化出来た!
- その解決策の仮説まで出せて早速実行に移せた!
- 雑談からあらたなアクションがうまれた!
- 私にとっても本当に良い経験だった。ふりかえりは大事!
- チームに感謝!
これは私がスクラムマスターを担当しているあるチームでのはなしです。
このチームは比較的自立出来ているチームで、個人的にはとても良いチームだと思っています。
ですので普段の関わり方としては、スクラムイベントの進め方などにはあまり口を出さずに、メンバーから意見を求められた時や、少しおかしな方向に行きそうに感じた時だけ客観的な問いかけをするように心がけていました。
- このチームはアジャイル開発をおこなっておりスクラムを採用しています
- このチームはリモートワークで開発をすすめています
- このチームの基本的にモブプロで開発をしています
- スクラムマスターの私は定期的にモブプロを観察しています
ここしばらくチームはふりかえり手法をKPTAで固定していました。
期日のあるプロジェクトを進めているなかでスケジュールの遅れなどがあり、課題に向き合った方が良いと言うのがチームの意見でした。
私はそれを尊重し特に意見はしませんでした。
しかし、毎週KPTAでふりかえりを行う中で少しづつ違和感を感じるようになりました。
KPTやKPTAのあるあるで私も経験があるのですが、P(Problem)ばかりを注目するようになり、そのそのうち、T(Try)とそのA(Action)を考えるのはP(Problem)についてのだけになり、K(Keep)は書き出すだけでになっていきました。
しかもP(Problem)についても、数が多くなりふりかえりの時間では収まらないので取り上げられなかったものは放置されてしまう状態が続いていました。
重大なProblemに向き合うの大事だと思いつつ、取り残されたものが気になること、そしてなによりKeepの重要度が低くなっていることがどうにも違和感で「このままではいけない」と思っていた時にタイムリーにこちらの記事をたまたまXのタイムラインで発見しました。
ProblemやTryの前に、ちゃんとKeepがあるのがいいんですよ。課題認識と改善のネタ出しは大事なんですけど、それだけでは、チームにないことばかり話してしまいます。
メンバーが自信を持って前に進むには、ちゃんと、できてることを認識して、増やしていかないといけません。チームにできることがあるから、次の仕事の依頼があるわけですし。チームの価値を、自分たちがわかってないと売れないし、誰かに言わないと勘違いしてた時に直せない。
この部分がまさに私の感じていたことを言語化されていた内容で はっ! とさせられました。「たしかにチームにないことばかり話してしまっている!」
そこで私は「次のふりかえりではFun! Done! Learn!をやってみたい」とチームに提案しました。
「Problemの中から解決すべきものを選びTryを考え具体的なActionにして行くのは良いことだけど、一度チームの現状を把握しそこからチャレンジを考えませんか?」と
チームは快諾してくれました。
そしてふりかえりでFun! Done! Learn!を実施
結果はDone!やLearn!がそこそこあるものいFun!がとても少ないというものでした。
チームは常に雰囲気も良く、他のチームに比べても色々と先をいっているだけに驚きでしたが、これについてメンバーと議論をすることにしました。
私「Fun!が少ないのはみんなどう思ってる?」
Aさん「うーん、今は期限がある開発をやっていて実装に集中しているので楽しいって感覚があまりもてないのかもですね。辛いとかではないんですけど」
Bさん「私はこのスプリントはとくに成果物がADRのドキュメントだったり、課題を解消するための議論の結果だったりなので少し楽しいって感覚を持てなかったかもですね。」
Aさん「開発とそういったドキュメント関連を半分づつくらいにスプリントに入れれたいいですね。」
私「そうですね。POと相談になるかしれませんがそう意識しておくと良いかしれないですね。」
私「Cさんはどうですか?」
Cさん「個人的にまだドメイン知識が不足していて、みんなについていけてないので、楽しいと思えるとこまでたどり着けていないですね。楽しいと思えるのはその際にあるような気がしてます。」
私「ドメイン知識はAさんが一番あるんでしたっけ?」
Aさん「いや、でも私もみんなより少しこのチームが長いだけですよ。まだまだ足りてないので勉強がいるなぁって思ってます。」
Bさん「そうでね。ちょっとドメイン知識の不足は私も感じてますね。開発中に手が止まってしまうことがあるのでもっとつけたいですね。」
私「どうしましょうか?どっかで勉強会とかやるのが良いですかね?」
Aさん「実は前は定時より30分はやくモブプロを切り上げて、その後は勉強会やってたんですよね。いつのまにかやらなくなってしまったけど…」
Bさん「そうでしたね。結局、開発を進めててキリがいいところってやっててそのまま延長してしまってますね。」
Aさん「モブプロのドライバーの交代も時間じゃなくて、キリの良いところになってますね (苦笑)」
私「じゃ、勉強会再開してみます? 定時の30分前に一旦作業は止めて?」
Aさん「そうですね。モブプロも前みたいに時間にしてメリハリつけようと思います!あと技術的な不明点とかもそこで共有して解決したいなって思います。」
私、Bさん、Cさんうなづく
このやりとりで、以下のような具体的なアクションが決まりました。
- 定時前に少し早めに作業を切り上げて勉強会する
- モブプロのドライバーの交代のメリハリをつける
- 時間で強制的に交代する
具体的なアクションも決まったところで、私がふりかえりを閉めようとした時、あるメンバーからとても良い問いかけがありました。
Aさん「ちょっと雑談なんですけど、みんなの思うFunな状態(楽しい)って何かを聞いてみたいです!」
Aさん「私はわいわい会話しながら開発をしているのをイメージするんですが、みんなはどうですか?」
Bさん「私もそうですね。会話があるのが良いですね」
チームの中で一番最後に参画したCさんからは
Cさん「私は少し考えこんでしまったりするので、ちょっと会話は苦手なんですよね」
Cさん「だからどうしても無反応になってしまってます」
Aさん「そしたらチャットのスタンプとか、画面共有のペン機能とかでリアクションするのはどうですかね?」
Bさん「よそのチームだとけっこうそれで盛り上がってましたよ」
Cさん「それは良いですね! ちょっとやってみます」
その場で色々なリアクションボタン※を押しながら盛り上がり別の話題になっていきました。
Aさん「普段でも分からなかったら止めてもらったりして大丈夫ですよ。」
Bさん「ですね。声かけたりってやりにくいと思うんで、スタンプとかペン機能でリアクションしてもらうとかでも良いと思いますよ」
Cさん「はい、ちょっとそれやってみます!」
この後、まだ時間があったので雑談が続きました。
「雑談も大事ですね」となって、意図的に毎日5分くらいは雑談を入れる事も次のアクションに追加されました。
今回分かったのはドメイン知識の不足はCさんだけではなくて、全員が課題だと感じていることでした。AさんもBさんも自信があるわけではないので、「気になったことをみんなで調べたり、教えあったりしましょう」と言う事になりました。
このアクションはその後すぐに実行に移されました。
定時の少し前で開発は切り上げ、業務ドメインの勉強会が早速開催されました。
今回、あらためて学んだことは、チームの状態を確認する事の重要性でした。
私はこのチームは楽しく仕事をしていると思っていたので、今回のFun! Done! Learn!の結果は意外なものでした。
ですがチームの状態を可視化しチーム内で認識を合わせれた事で個別に書いたProblemよりも、より現実的な課題が浮き彫りになったのはチームにとって収穫だったと思います。
これは、ふりかえりとは少し違うかもしれませんが、雑談の重要性も再確認しました。
雑談のリラックスしている状況でようやく出てくる悩み事や相談事もあり、それは真面目に議論していた内容とは違う観点でチームにとって大事なことが明らかになる良い機会だとひとつ学びました。 このことを新たに学べたことも私の中での今回の大きな収穫の一つだったと思います。
今回のふりかえりでは自律的に動いてくれているこのチームのすごさも再確認できました。
このチームだったから私のFun! Done! Learn!にしたいという提案もすぐに快諾してくれたのだと思います。
また私はふりかえりのファシリはしましたが、「Fun! Done! Learn!」で見えてきたチームの状態から議論が広がったのはチームの力だったと思っています。
チームのおかげで私は、今回のふりかえりでとても大きな学びを得ることができました。
ですのでチームのメンバーには感謝の気持ちでいっぱいです!
そして、「もっとこのチームに貢献できるスクラムマスターでありたい!」とあらためて思いました。
長文をお読みいただきありがとうございました。
今回は、先日おこなったチームのふりかえりが私にとってとても実りがあり、その記録を残したくて書いた記事だったのですが、書いていく中でチームのへの感謝の気持ちも強くなり、最後はそのことも触れていました。
スプリントのふりかえりの話ではありますが、チームへの気持ちとかそういったものも自分自身の中でふりかえれたので、この記事を書いて本当に良かったと思っております。
それでは