- はじめに
- MSIインストーラとは
- 2.1 MSIの概要
- 2.2 MSIの特徴
- 2.3 MSIのメリットとデメリット
- EXEインストーラとは
- 3.1 EXEの概要
- 3.2 EXEの特徴
- 3.3 EXEのメリットとデメリット
- MSIとEXEの比較
- 4.1 インストール方式
- 4.2 カスタマイズ性
- 4.3 システム管理のしやすさ(企業向け展開)
- 4.4 サイレントインストールのサポート
- 4.5 インストールの信頼性(ロールバック機能)
- 4.6 GUIの自由度
- 4.7 前提条件の処理
- 4.8 ポータビリティ
- どちらを選ぶべきか?
- 5.1 企業向けソフトウェアの場合
- 5.2 一般向けアプリケーションの場合
- 5.3 ゲームやカスタムアプリの配布の場合
- 5.4 Windows StoreやUWPアプリの場合
- 結論
Windows向けのソフトウェアを配布する際、インストーラの形式として**MSI(Microsoft Installer)とEXE(実行可能ファイル)**のどちらを選択するかは、ソフトウェアの性質や配布方法によって異なる。この記事では、MSIとEXEの違いを比較し、それぞれのメリット・デメリットを明確にする。
MSI(Microsoft Installer)は、WindowsのWindows Installerサービスを利用した標準的なインストールパッケージ形式である。ファイルのコピー、レジストリの変更、ショートカットの作成など、インストールに必要なすべての情報を1つのデータベースファイル(.msi
)に含む。
- Windows Installerを利用し、標準化された方法でインストールを実行する。
- スクリプト不要で、データベース形式の設定ファイルをもとにインストールが進む。
- 修復機能があり、破損したインストールを自動で修復できる。
- ロールバック機能があり、インストールが失敗した場合に変更を元に戻せる。
- グループポリシー(GPO)による集中管理が可能で、企業環境での展開に適している。
メリット
- 一貫したインストールプロセス
- 企業向けに適した管理機能(GPO、ロールバック、修復)
- サイレントインストールが簡単
デメリット
- カスタムインストールの自由度が低い
- GUIのカスタマイズが困難
- 依存関係の処理が柔軟でない
EXE(Executable File)は、Windowsで実行可能な自己完結型のファイル形式であり、NSIS、InstallShield、Inno Setupなどのツールを使ってカスタムインストーラを作成できる。
- カスタマイズ性が高いため、特定の処理(ライセンス認証、前提条件チェック、カスタム設定など)を組み込める。
- 独自のGUIデザインが可能で、ブランドイメージに合わせたインストーラを作成できる。
- Windows Installerに依存せず、スタンドアロンで動作可能。
- 自己解凍型アーカイブとしても利用できる。
メリット
- カスタム処理が可能(スクリプトやGUIの柔軟性)
- Windows Installerに依存しない
- ゲームや一般向けソフトの配布に適している
デメリット
- GPO展開が困難
- インストールの信頼性がインストーラエンジンに依存
- サイレントインストールのオプションが統一されていない
項目 | MSI | EXE |
---|---|---|
インストール方式 | Windows Installerを利用 | 独自のインストーラエンジン |
カスタマイズ性 | 低い | 高い |
システム管理 | GPO対応、集中管理が可能 | 管理が難しい |
サイレントインストール | msiexec /i package.msi /quiet で容易 |
/S など(インストーラによる) |
ロールバック機能 | あり | 基本的になし |
GUIの自由度 | 低い | 高い |
前提条件の処理 | Windows Installerの制約あり | 柔軟に設定可能 |
ポータビリティ | Windows Installerが必要 | 単独で実行可能 |
MSIが適している。GPOによる集中管理が可能で、インストールの信頼性も高いため、大規模環境に向いている。
EXEが適している。GUIやカスタムインストールの自由度が高く、ゲームやユーティリティソフトの配布に向いている。
EXEが適している。ゲームのセットアップではカスタム処理(ランチャーのインストール、ライセンス認証など)が必要なため、EXEの方が柔軟に対応できる。
MSIX(MSIやEXEではなく、新しいパッケージング方式)を利用するのが推奨される。
- 企業向けならMSI(標準的で管理が容易)
- カスタム処理が必要ならEXE(自由度が高い)
- ゲームや一般向けソフトはEXEが適している
- Windows Store向けならMSIXを検討
MSIとEXEの選択は、管理のしやすさとカスタマイズ性のどちらを優先するかによって決まる。