対抗要件.md

権利区分	対抗要件	備考（概要と留意点）
不動産物権（所有権・抵当権等）	登記	・民法177条：登記が先行した者が優先される。 ・自動車所有権・抵当権も道路運送車両法に基づく登録が必要。
動産物権（譲渡・譲渡担保等）	引渡し（現実・簡易・占有改定・指図移転） 注：譲渡担保は登記で代替可能	・民法178条：引渡しが原則。 ・引渡し類型（民法182条～184条）を理解する。 ・譲渡担保の場合は動産譲渡担保登記で代替できる。
債権譲渡・担保設定	債務者への通知または債務者の承諾 注：確定日付証書があれば第三者に対抗可能	・民法467条：通知・承諾がないと第三者に対抗できない。 ・確定日付証書や債権譲渡登記で優先順位が明確化できる。
株式（譲渡・質権設定）	株主名簿記載（名義書換） 注：株券発行会社は株券交付も要件	・会社法130条：名義書換が対抗要件。 ・株式等振替制度では口座情報が対抗要件となる。
著作権移転・質権設定	文化庁登録原簿への登録	・著作権法77条：登録により権利変動を公示。 ・令和2年改正で一部ライセンス契約は登録不要となる場合あり。
特許権 通常実施権設定	特許庁登録原簿への登録 注：平成24年改正以降は登録不要の場合あり	・特許法99条：原則として登録が必要。 ・平成24年改正で一定要件を満たせば登録不要（当然対抗制度）。
意匠権 通常実施権設定	特許庁登録原簿への登録 注：平成24年改正以降は登録不要の場合あり	・意匠法28条：原則として登録が必要。 ・平成24年改正で一定要件を満たせば登録不要（当然対抗制度）。
商標権 通常使用権設定	特許庁登録原簿への登録	・商標法31条：登録が必須。 ・特許・意匠のような当然対抗制度は未導入。
立木・稲穂等（特殊物権）	明認方法（慣習・判例による）	・民法に明文規定なし。 ・地域慣行や判例で対抗要件が補完される。
温泉権（鉱泉利用権等）	台帳記載または区域標示	・民法に明文規定なし。 ・温泉台帳登録・区域標示で対抗要件を果たすことが多い。
農業用動産の抵当権	登記	・農業動産信用法13条：登録が原則。 ・善意の第三者には民法192条～194条による即時取得が優先。