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師範学校の講師であった著者が、生徒に行った修身の講義をまとめたもの 。講義は自身の修身に対する考えを直接語ることで行われた。
志・信念・人生・勤勉など、人として生きる原理原則が語られている。昭和12年の講義ということで、すでに80年近く前のものであるが、現在において一言一句まったく色あせない金言が並んでいる。金言というより、魂を揺すぶる情熱と気迫が込められた言葉と言った方が正しいか。
重そうな内容であるが、口述筆記録のため、また将来教職に就く少年達(年齢16歳前後)に向けた愛のある言葉なので、大変読みやすい。
- 旧制小中学校の科目のひとつ。道徳教育。
- 自分の行いを正しくするようにつとめること。
- 「人生二度なし」の心理を根本信条とした「全一学」という学問を提唱した哲学者・教育者
- 「真理は現実のただ中にあり」とし、理念ではなく実践において自己を修めることを述べた
書籍内の推薦文を引用
七十代のはじめに、この書物で心を洗われた幸せを思う。生きるための原理原則を考え直し、晩年にそなえるために、これ以上の出会いはなかった。
奥深い真理が実に平明に、ていねいに語られていて、おのずと心にしみてくる。よほど愛と謙虚さと使命感と責任感がなければ出来ないことだ。
「慎独とは結局、天が相手だ」「志と野望はちがう」「その人の生前における真実の深さに比例して、その人の精神は死後にも残る」
こういう言葉は、もやは学生だけでなく、さまざまな職業の、三十代、四十代、五十代、六十代、七十代と、それぞれの年齢に応じて重く響くものがあるだろう。特に組織のなかに埋没しがちなサラリーマンにすすめたい。
小島直記
- おおよそ我が身に降りかかる事柄は、すべてこれを天の命として謹んでお受けするということが、われわれにとっては最善の人生態度と思うわけです
- 自分は人間として生まれるべき何らかの功徳も積んでいないのに、今、こうして牛馬や犬猫とならないで、ここに人身として生を受け得たことのかたじけなさよ!という感慨があってこそ、初めて人生も真に厳粛となるのではないでしょうか
- 諸君らの現在日々の生活は、そのまま諸君らにとっては、人生の旅路の一歩々々の歩みです
- 人間が真に欲を捨てるということは、実は自己を打ち越えた大欲の立場にたつということです。すなわち自分一身の欲を満足させるのではなくて、天下の人々の欲を思いやり、できることなら、その人々の欲をも満たしてやろうということであります
- 人間として最も大切なことは、単に梯子段を一段でも上に登るということにあるのではなくて、そのどこか一ヶ所に踏みとどまって、己が力の限りハンマーをふるって、現実の人生そのものの中に埋もれている無量の鉱石を、発掘することでなくてはならぬからであります
- 未だ死について何らの考えもなく、死に対して何ら腰の決まらないうちは、その人生は、いまだ真実とは言えないと言ってよいでしょう
- われわれが気品のある人間になるためには、何よりもまず根本のこころの曇りを拭うようにしなければならぬと申したわけですが、しかしさらに大切なことは、慎独、すなわち、人間がただ一人いる場合にも、深く己を慎むということです
- 人生を深く生きるということは、自分の悩みや苦しみの意味を深く噛みしめることによって、かような苦しみは、必ずしも自分一人だけのものではなくて、多くの人びとが、ひとしく悩み苦しみつつあるのだ、ということがわかるようになることではないかと思うのです
- 実際人間の偉さというものは、ある意味では働くことを多くして、しかもその受けるところが少ない所から生まれてくるとも言えましょう。ですから諸君らも、まず人の一倍半の働きをして、報酬は二割減をもって満足するという辺に、心の腰をすえてかかるんですね
- 一日の予定を完了しないで、明日に残して寝るということは、畢竟人生の最後においても、多くの思いを残して死ぬということです。つまりそういうことを一生続けていたんでは、真の大往生はできないわけです
- 第一部:01, 02, 05, 06, 07, 08, 09, 12, 14, 15, 19, 30, 31, 32, 37, 40
- 第二部:01, 07, 08, 10, 11, 13, 14, 19, 22, 24, 25, 26, 27, 28, 29, 30, 34, 36, 39
- リーダーシップとは、自分自身をリードすることから始まる ー リーダーシップの旅
- リーダーは、まず自分自身をリードすることが出来ていなければならない
- こうなりたいという理想に向けて、自分自身を前に進めることが最初のリーダーシップ
- 自らをリード出来て初めて、人々を、社会をリードすることができるようになる
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欧米では全員にリーダーシップを求める ー Chikirinの日記:なんで全員にリーダーシップを求めるの?
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全員がリーダーシップ経験を持つ組織は、一部の人だけリーダーシップがある組織より圧倒的に高い成果が出る
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一回でも忘年会の幹事をやれば、店の選び方について後からどうでもいい意見を言ってみたり、参加可否を問うメールを放置して返事をしなかったり、たいした用もないのに遅れてきたり、「オレは酒が飲めないから安くしろ」と言ってみたりすることが、どれくらい慎むべき行為かすぐに理解できます。
リーダーシップ体験のない人って、すぐにわかりますよね。彼らはまさに上記のような言動をし、それの何が悪いのかさえ理解していません。そういう人を見ると「ああ、一回もリーダーをやったことがないんだな」といつも思います。
- リーダーシップ経験を持つ人間は、フォロワーシップの重要性も理解できるようになる
- フォロワーシップとは、目的達成に向けてリーダーを補助していく機能のこと
- リーダーシップも重要だが、フォロワーシップがより重要
- フォロワーシップの存在が一人のバカをリーダーに変える、とも言える
- デレク・シヴァーズ「社会運動はどうやって起こすか」
- 修身とは、自分の行いを正しくするようにつとめること。
- 主体変容、自分自身を変える、自分がまず行動する、という姿勢はリーダーシップの第一歩と言える。