AMPA Receptor Trafficking at Excitatory Synapses (David S Bredt et al. 2003)の要約。 リンクはこちら。
-
-
Save domitry/93e6777a2480ff5af65e to your computer and use it in GitHub Desktop.
この論文の主役はAMPA(とNMDA)のreceptor。
AMPA receptor(AMPAr), MNDA receptor(MNDAr)とは何か?主に後シナプスの膜に分布している受容体。その役割はシナプス小胞に入っているグルタミンを受容してイオンチャネルを開け、AMPAはNa+, NMDAはCa2+やNa+を通して細胞の脱分極を引き起こすこと。
グルタミンを受容するのに何故AMPArやNMDArと呼ばれるのか?おそらくうつ病などの治療薬を作るために(推測)グルタミン酸のやり取りをブロックしたり促進する科学物質を探していた過程で見つけたのがAMPAやNMDAだろう。(両方とも人工的に合成されたものである。)それぞれグルタミン酸の代わりに受容体を活性化してくれる。(このような神経伝達物質の代わりをagonistと呼ぶ) (補足: うつ病患者は興奮性の神経伝達物質の使用量が少ないらしい。躁はその逆?(要出展))
この2つの受容体は記憶に関係しているらしい。
特にNMDArの活性化はLTP(Long term potentiation)を引き起こすらしい。これは長期的に見て、この細胞が興奮しやすくなること(多分)。逆にLTDはこの細胞が興奮しにくくなること。
調べてみるとLTPの後にシナプスに接する部分にAMPArが多くなっていた。逆にLTDのときはAMPArが少なくなっていた。NMDArの量は変わらなかった。(条件を変えたらこいつも変化するらしいけどこの論文では扱わない)これ以降は全部AMPArの話。
この、AMPArが増える/減るメカニズムをこれ以降で扱っているのだけども、その大域的な理解には以下の動画が役立つと思われる。 (https://www.youtube.com/watch?v=FfZNn2hRe1s)
要約すると、まずpost-synaptic membraneにAMPA receptorとNMDA receptorの2つがある。グルタミン酸がpre-synaptic membraneから出てくるとAMPA receptorが開いてNa+を細胞内に入れる。このときNMDA receptorはMg2+が中に詰まって働かない。だが細胞内が脱分極し、+の電荷を帯びると電気的な平衡が崩れてMg2+が出ていく。そうするとNMDA receptorはNa+の他にCa2+を引き入れる。
このCa2+が曲者で、こいつが細胞内の足場タンパクや補助タンパクを活性化して以下の3つの作用を引き起こす。
- すでにあるAMPA receptorの構造を変えてよりNa+が入るようにする
- 細胞内で合成されたAMPA receptorをどんどんpost-synaptic membraneに持ってくる。
- 相手方のpre-synaptic membraneに働きかけてもっとグルタミン酸を出させる。
おそらくこの1~3、特に2がこの論文で詳しく述べられていると思う。
後は各段落についてその意味を少しだけ書く。
AMPA receptorの分子構造について述べている。AMPArはGlu1, Glu2, Glu3, Glu4の4種類のサブユニットから成る。それぞれのサブユニットはNTD, S1, S2と細胞膜に浮いている部分, flip/flop regionから成る。S1-S2でグルタミン酸をキャッチして細胞膜に浮いている部分が変化して(?)イオンを通す。
AMPArは必ずしもGlu1-Glu4の4種類からなっているわけではなく、1111や4444, 1122や2233の組み合わせもあり得る。この組み合わせによってこの受容体の特性が変わる。
また、flip/flop regionも大事である。(flipが普通のむき、flopはひっくり返った状態。)flipかflopを決めるのはDNAを読み取ってRNAにする時点で、より詳しくは選択的スプライシングによって決められる。グルタミン酸が入ってきたとき、flipだとその受容体はすぐ鈍くなる。(新しくリガンドがくっついても大して変化しない?)flopだとより敏感に反応する。
基本的にはS1とS2が大事だよという話だと思う。最初の方でS1とS2の構造が同定されたことが書いてある。実はリガンド(グルタミン酸とAMPA, kainate)によってS1とS2の変化の仕方が違うらしい。これが大事だよーみたいなことが書いてあるぽい。後はAMPArは四量体だけど、実は二量体2つが組み合わさってできたものだよみたいなことが書いてある。
ここから、AMPArが細胞(後シナプス側)の中で組み立てられてシナプスまで運ばれてくる仕組みが述べられている。(多分)
もちろんAMPArが自分でシナプスまで泳いでくるわけではないので、その輸送を担当する別のたんぱく質が存在するはずである。この足場(scaffolding)タンパクや補助タンパクについて詳しく述べている。
ここも輸送の話、というかAMPArがどう輸送され、増えるかの説明。
先ほど述べたように、AMPArはどのサブユニットから成るかでその特性が変わる。特にGlu1のような長いしっぽを持つサブユニットを持つAMPArとGlu2のような短いしっぽを持つサブユニットから成るAMPArではその特性が大きく異なる。ここからはそれぞれのAMPArが輸送に関わるタンパク質とどう関わるかを述べている。
大雑把にいうと、長いしっぽAMPArは沢山信号が伝わると増えてくる。それに比べて短いしっぽAMPArは常に一定の割合で増えてくる。
p362の図に書いてあったPDZ proteinと足場タンパクの話。しっぽっていうのがPDZ proteinのことだからここにこの項があるんだと思う。
長いしっぽAMPArと短いしっぽAMPArそれぞれについてそれぞれ他のタンパクとどう関わって運ばれてくるか説明されている。
細胞の外にある(つまりシナプスと接している?)タンパク質もAMPArの輸送に関係してくるらしい。
めんどいから読んでない。あんまり大したことない気がする。
ここまでずっとPost-synapticなAMPArの話をしてきたが、実はpreの方にもあるらしい。これはさっき出した動画のカバーしてない範囲だが、割と短いのであんまり気にすることはない気もする。
LTP(長期的に細胞が興奮しやすくなる方)の間にはAMPArに何が起きているか。めっちゃ重要。 脳のどこにどういうAMPArが分布しているかについても述べられている気がする。適当に見ただけなので違うかも。
LTD(長期的に細胞が興奮しにくくなる方)の間にはAMPArに何が起きているか。こっちも重要。
ここからまとめな気がする。読んでない。
あと2,3項省略。
そこそこ重要。スライドには含めないといけないのかなあ。でも2003年の文章だしもうFutureじゃない気もする。もしかしたら先生が実は今はこんな事実がわかってるんですよ~みたいに突っ込んでくれるのかも。