調査日: 2026-05-21
grill-me は、計画や設計を短い対話でその場検証するための軽量なインタビュー指示です。1問ずつ深掘りし、必要ならコードベースを調べ、各質問に推奨回答も添える前提なので、初期案の穴を素早く見つける用途に向いています。
dig は、Claude Code のプラグインとして構成された重めの探索プロセスです。事前の文脈収集、仮定のリスク分類、2から3問単位の構造化質問、発見事項の整理、計画ファイルへの反映、完了判定まで含むため、高リスクな計画を固める用途に向いています。
使い分けの基本方針は「まず grill-me で軽く炙り出し、リスクや未決定事項が多い場合に dig へ移る」です。最初から dig を使うのは、計画ファイルがあり、決定ログを残したい場合か、失敗時の影響が大きい場合に限るのがよいです。
mattpocock/skills:skills/productivity/grill-me/SKILL.mdfumiya-kume/claude-code:dig/README.mdfumiya-kume/claude-code:dig/commands/dig.mdfumiya-kume/claude-code:dig/.claude-plugin/plugin.json
| 観点 | grill-me | dig |
|---|---|---|
| 位置づけ | AI エージェント用の短いスキル指示 | Claude Code の slash command / plugin |
| 主目的 | 計画・設計を対話で厳しく詰める | 隠れた仮定、リスク、未検討の意思決定を体系的に発見する |
| 質問スタイル | 1問ずつ質問する | 1ラウンド 2から3問、各問に複数選択肢と pros/cons を付ける |
| 深掘り方針 | 決定ツリーの各分岐を順に解決する | 高リスク仮定から depth-first に掘る。主要トピックは2段階以上深掘りする |
| 事前調査 | コードベースで答えられる質問は、質問せず調べる | 計画ファイル、CLAUDE.md、関連ドキュメント、会話文脈を読む |
| 出力 | 質問と推奨回答が中心 | ラウンドごとの発見、意思決定表、残リスク、次アクション、計画ファイル更新 |
| 停止条件 | 明示的な停止条件は弱い | 完了チェックリストがある |
| ファイル編集 | 指示上は必須ではない | 計画ファイルへの反映を前提にしている |
| ツール依存 | 比較的移植しやすい | AskUserQuestion、TodoWrite、Write/Edit など Claude Code 前提が強い |
| 適した粒度 | まだ粗いアイデア、短時間の設計確認 | 実装前の計画レビュー、設計確定、リスク洗い出し |
- まだ計画が粗く、まず論点を見つけたい。
- 5分から15分程度で計画の弱点を見たい。
- ユーザーが1問ずつ考えたい。
- 既存コードを見れば答えが出ることは、AI 側に調べてほしい。
- 計画ファイルや決定ログまでは不要。
- 実装前の軽い design review として使いたい。
例:
この認証設計を grill-me してください。
コードで確認できる前提は質問せず調べて、最大5問に絞ってください。
各質問にはあなたの推奨回答も添えてください。
- すでに plan.md、PRD、仕様書がある。
- 隠れた前提や障害時の扱いを体系的に洗いたい。
- 複数人に共有する意思決定ログを残したい。
- 失敗時の影響が大きい設計、移行、権限、データ、課金、運用を扱う。
- 「何を決めたか」「なぜそうしたか」「何が未解決か」を文書に反映したい。
- 一度の質問ではなく、回答から新しい問いを作って深掘りしたい。
例:
/dig
対象は docs/plan.md です。
高リスクな仮定を優先し、決定事項は plan.md の Decisions に反映してください。
flowchart TD
A["計画・設計を検証したい"] --> B{"計画ファイルや仕様書がある?"}
B -- "ない / まだ粗い" --> C["grill-me"]
B -- "ある" --> D{"失敗時の影響が大きい?"}
D -- "小さい" --> C
D -- "大きい" --> E["dig"]
C --> F{"高リスク仮定が複数見つかった?"}
F -- "いいえ" --> G["そのまま実装・次アクションへ"]
F -- "はい" --> E
E --> H["決定・残リスク・次アクションを計画へ反映"]
-
最初から質問責めにしない。 コード、仕様書、既存ドキュメントで確認できることは先に調べる。これは両者に共通して入れるべきルールです。
-
grill-meには停止条件を足す。 元の指示は「relentlessly」「every aspect」「each branch」の圧が強く、無限に分岐しやすいです。最大質問数、対象範囲、終了条件を追加した方が実務向きです。 -
推奨回答の出し方に注意する。
grill-meは各質問に推奨回答を添えるため、ユーザーの判断を早い段階で誘導する可能性があります。重要な意思決定では「まず選択肢と trade-off、次に推奨」の順にする方が安全です。 -
digは軽い相談には使わない。digは文脈収集、仮定マッピング、計画更新まで含むので、数分で済む確認には重すぎます。小さなタスクで使うと、実装より儀式が大きくなります。 -
digを移植するならツール依存を置き換える。digは Claude Code のAskUserQuestionやTodoWriteを前提にしています。Codex や ChatGPT で使う場合は、通常の質問、タスク管理、ファイル編集フローへ明示的に置き換える必要があります。 -
計画ファイルの自動更新は確認ルールを持つ。
digは発見と決定を計画ファイルへ書く設計です。チーム運用では、どのファイルのどのセクションへ書くか、既存記述を上書きしてよいかを明確にしてから使うべきです。
- 「あらゆる側面」「決定ツリーの各分岐」を追う指示は、範囲が広すぎます。実務では、リスク上位、不可逆な決定、コードで確認できない前提に絞る方が効率的です。
- 明示的な停止条件がありません。時間制限、最大質問数、または「高リスク論点がなくなったら終了」を加えた方がよいです。
- 推奨回答を毎回出す設計は有用ですが、ユーザーの考えを狭めるリスクがあります。特にプロダクト判断や組織判断では、推奨より先に選択肢と trade-off を出すべきです。
- 「質問できるがコードで答えられることは調べる」という方針はよい一方で、何をもって「答えられる」とするかが曖昧です。調査結果と推測を区別するルールがあると安全です。
- Claude Code 専用ツールへの依存が強く、そのまま別環境に移すと破綻しやすいです。特に
AskUserQuestionがない環境では、質問 UI と選択肢提示のルールを再設計する必要があります。 - 計画ファイル更新が前提なので、読み取り専用レビューや短時間相談には不向きです。
- 完了チェックリストは強力ですが、すべて満たそうとすると調査が長引きます。高リスク領域だけに限定する運用が必要です。
- 「2段階以上深掘り」はよい制約ですが、すべての主要トピックに適用すると過剰です。重要度が低いトピックは1段階で止める裁量が必要です。
普段使いでは、次のように組み合わせるのが扱いやすいです。
-
grill-meで初期スクリーニングする。 最大5問、1問ずつ、コードで確認できることは先に確認する。 -
高リスク仮定が見えたら
digに移る。 対象ファイル、更新先セクション、質問ラウンド数、完了条件を明示する。 -
dig後は実装タスクに変換する。 決定事項、未解決リスク、検証タスク、実装タスクを分ける。 -
小さな修正や既知のバグにはどちらも使わない。 その場合は質問よりコード調査とテストを優先する。
この計画を grill-me してください。
先に関連コードとドキュメントを確認し、そこから答えられることは質問しないでください。
質問は最大5問、1問ずつ行ってください。
各質問では、選択肢、trade-off、あなたの推奨を示してください。
高リスクな未決定事項がなくなったら終了してください。
docs/plan.md を対象に dig してください。
まず文脈を読み、高リスクな仮定だけを優先してください。
質問は1ラウンド最大3問、最大2ラウンドまでにしてください。
決定事項は docs/plan.md の Decisions セクションに追記し、既存記述は上書きしないでください。
最後に残リスクと次アクションを箇条書きでまとめてください。
- 日常的な設計相談、アイデア検証、実装前の軽い壁打ちは
grill-me。 - 仕様書・計画ファイルがあり、リスクや意思決定を記録したい場合は
dig。 - 高リスクだがまだ計画が粗い場合は、
grill-meで論点を絞ってからdig。 - 既知の実装作業やバグ修正では、どちらも使わずコード調査とテストを優先する。
両者は競合するツールではなく、計画の成熟度とリスクに応じて段階的に使い分けるものです。