- 日時: 2015-08-24 19:15-20:40
 - 講師:
- 野島 梨恵氏 (東京山王法律事務所)
 
 - 場所: Co-Edo
 - 資料
 - ハッシュタグ #coedo
 
イベントURL: https://coedo-dev.doorkeeper.jp/events/29764
- システム開発関係専門の弁護士ではない
- システム開発の訴訟案件に関わったことはあるが、システム開発に特に詳しいわけではない
 - 私が理解できなければきっと裁判官も理解できない
 
 
- 典型的な弁護士の仕事
 - 請負、派遣、雇用とは何なのか
 
- 請負の形をとった「派遣」
 - 使用主の種々の責任を逃れるために請負の形をとる。
 
- 契約書の結び方の話を第1回に行った
 - 「仕事の完成」を目的とする
- 納品するものがあるという形式に馴染む
 - ブツを検収できる
 
 - 道具などは自前で揃える
 - 完成させなかった場合は「債務不履行」
 - 欠陥があった場合は「瑕疵担保責任」を負う
 - 基本的には完成させた時に初めて報酬を貰える
 
- 調査などブツを納品しない場合
- ベストエフォートを尽くす
 - 医者との診療契約など
 
 - タイムチャージは委任に極めて近い
 
- きちんと検収することが極めて重要
 - 下請法などの制限が存在する
 - 納品が送れば場合の責任
- 仕様・指示の変更によるものか、請負側の能力不足によるものか。
 
 
- 「善良なる管理者の注意義務」
- 過程が逐一問われることになる
 - 普通ならこの位はやるでしょうということをやらない場合、義務違反になる
 
 - 発注側は「ほっといても責任が出る」と思ってはいけない
 - 受注側は自分を守るためのアリバイを作っておかなければいけない。
- 結果が意に沿わなかった場合にトラブルになることが非常に多い
 - 自分の行動が疑いの目で見られた時に穴のないように
 
 
- 派遣事業を営むためには厚労省の許可がいる
- さまざまな規制がある
 - 派遣台帳を整備する等
 
 - 派遣元と労働者との間に雇用関係がある
 - 指揮監督は派遣先より受ける
- 請負なのに派遣先より指揮命令を受ける場合は労働基準法違反
 
 
- Q: 請負契約で発注した場合で、受注者がどうにも能力がなさそうなことが分かってきた時にどうしたら良いか?
 - A: 理想を言えば切ったほうが良い
- 具体的に指示を出すとどんどん派遣に近づきグレーになっていく
 
 
- 「委任は信頼関係」なので信頼関係がなくなったら切るのが基本。
 - システム開発は、客先と一緒に仕様を決めていくことが多いのでグレーになりやすい
 - 完成後の保守のために、定常的に客先に常駐する場合は注意。
 
- 再委託は古い言葉で言うと「孫請け」
 - 請負の場合は、再委託は基本的に自由にできることになっている
- その代わり当然責任は持つ
 
 - 委任は基本的にはできない
- 「委任は信頼関係」だから
 
 
- 請負人が逃げた、倒産した場合に発注者に請求できるか
- 基本的にはできない
 - 法律的なテクニックを駆使すれば不可能ではないがかなり難しい
 
 - 指揮監督するのはあくまでも請負人
- 発注者側は指示をだすことができない
 - 発注者が直接指示を出すと請負契約があると認められてしまうことがある。
 
 - 見積書の宛先を裁判官は重視する
- どこを宛先にするかは重要
 
 
- 発注者と請負と孫請け
 - 成果物の所有権は、完成後代金が支払われて初めて発注者側に移るのが通常
 - 発注者と請負の間の契約には特約があって、分割で支払った分は発注者に所有権が移ることになっていた。
 - 1/4が完成した段階で元請けが破産
- 孫請けには一切支払いは行われていなかった
 - 自分が結んだのは通常の契約だから、1/4の完成分は自分に所有権があるはずだと孫受けが主張
 
 - 最高裁は孫請けの請求は認めなかった
- 孫請けの契約は、親の請負契約の上にあるものだから。
 
 - 仮に特約がなかったら、請負者の報酬請求権を代理行使することはできた。
- 本件では発注者が完成部分の報酬を支払済みだったので無理
 
 
- Q: 委任の場合の再委託は?
 - A: 委任契約場合は基本的に再委託ができないのであまり問題にならない
- そういう合意があったとして、委任先に何かがあった時に、再委任先は委任元に請求することはおそらくできないだろう。
 
 - Q: なぜ発注者は派遣ではなく請負をするのか
 - A: 請負の場合は、何かあった時の責任を請負に追わせることができる。
- 労働者を雇用するのは大変に面倒でお金がかかることなので、安易に請負を使う。