Skip to content

Instantly share code, notes, and snippets.

@nbqx
Created December 17, 2018 04:08
Show Gist options
  • Save nbqx/2b24684d829830268e5ee507c2be4740 to your computer and use it in GitHub Desktop.
Save nbqx/2b24684d829830268e5ee507c2be4740 to your computer and use it in GitHub Desktop.

2018年のアーバン・アウトドア・ライフ

ずーっと言いつづけていた芦澤一洋さんの最大のクラシックス「アーバン・アウトドア・ライフ」がことし2018年にやっと文庫で復刊した.

どんな本なのかはこんなかんじ

日本にアウトドアの概念を持ち込んだ、ナチュラリストでフライ・フィッシャー、芦澤一洋。庭や公園にある小さな自然の楽しみ方。都会から足を運ぶハイキング案内。そしてはるかな原野に想いを馳せる本や音楽―。自然を愛する眼と心さえ持っていれば、都会でも発見に満ちたアウトドア・ライフを送れることを提唱した極上のガイド・エッセイ。

「遊歩大全の翻訳者」「現代的なナチュラリストの"はしり"」「フライフィッシングを日本に広めた人」というある層からの評価はもちろん重要なことなんだけれど,ここには記されていない「アウトドア向けのウェアやグッズを日用品として使うこと」や「移動そのものをアクティヴィティとしてとらえること」だったり都市での日常生活と野外活動の垣根を見事にブッ壊したことが一般の方々から芦澤さんが評価されなければならない部分なのではないかとずっと思っていた.

そして芦澤さんご自身の夭逝に呼応するようにオリジナルの「アーバン・アウトドア・ライフ」「アウトドア・ものローグ」「バックパッキング入門」などの著作にものすごいプレミアがつき,本来であれば「クラシックス」になるはずのものが「カルト・クラシックス」になってしまっていたことが本当に惜しいことだったから,文庫化されて多くの方々が芦澤さんの文章に触れる機会が生まれたことは本当に素晴しいことだと思っている.

このことはけして大袈裟なことではなく,芦澤さんがこういう文章を残さなければ都会にアウトドア寄りのバックパックを背負ったサラリーマンは存在しなかっただろうし,GPSが載ったデジタル機器やNike+だってStravaだって登場するタイミングがもっともっと遅かったんじゃないかなという気さえする.

そしてことし

芦澤さんのように「都市での日常生活と野外活動の垣根を見事にブッ壊した」と思ったのは小島聖さんの「野生のベリージャム」だった.(ref: 生きていると出会う景色がある『野生のベリージャム』 - HONZ)

離婚・再婚・出産・仕事のことなど日常生活の出来事から思いつのることをそのまま引き連れて都会と自然を行き来をする,よくいわれるような「自然の中で日常の悩みやストレスなんて忘れてしまおう」なんてことは絶対にできない,できることは自然のなかで「自分ではどうしようもないことを考えない」「ものごとの視点を変える」「ものごとに踏ん切りをつける」ことだよねということをものすごく素直な文章で書かれていた印象があった.

こういう「向かう場所にかかえて持ってゆくもの」が実は道具と違って取捨選択できないと理解すること.つまり今まで「アーバン・アウトドア・ライフ」と散々書いてたけど,芦澤さんが書いていたことが価値の転換に着目した「アーバンな環境でもアウトドアライフ」のような解釈だったのに対してあくまで思考や感覚は地続きであることを受けいれるという「アーバン/アウトドアのライフ」みたいな解釈ができること.これが現在のライフスタイルが反映された2018年のアーバン・アウトドア・ライフなのかなと思った.

#OUTDOORDISCO

bbucのユニコーンのロゴ R&S Recordsみたいでかっこいいよね

それと「2018年のアーバン・アウトドア・ライフ」と書いてみたとき,関連してくるかなとおもった出来事がこの年末にあった.それがbbcuというオーストリアの小規模なサイクリングアパレルメーカがUKのDummy Magというダンスミュージック/クラブカルチャーの話題を中心とするwebメディアとコラボしてサイクリング用レイン・ジャケットをつくったこと.

一般的にサイクリングカルチャーがどう見られているのか分からないし(ご興味あればぜひこちらを ref: 「石畳の熱狂 ロードレースの記念碑を追いかけて」),一見すると最近だったらいかにもありそうで見過されそうな話なんだけれど,ここ数年「#OUTDOORDISCO」というコンセプトを掲げていたbbucがクラブカルチャー誌を出発点にしたdummy magと実際にくっついたことでこれがジョークではなくbbucのコンセプトの本気度がはっきり見えた気がした.

自転車競技においていわゆる「立ち漕ぎ」のことを英語圏では「Out Of Saddle」や「Standing」といい,自転車が盛んなフランス語圏では「女性のバレエダンサー」を指す「Danseuse」をつかって「Pédaler En Danseuse」のような言い方をする.そして日本ではフランス語の「Danseuse」から想起しうる「ダンシング」を使う.身体を揺らしペダルをリズミカルに踏む様子が「Danseuse」や「ダンシング」,つまり自転車のうえでステップを踏んでダンスを踊るように見えることが元になっているらしい(ちなみにアメリカだと「Honking」ともいうとどこかで読んだことがある.これはおそらくラグタイムやブギウギなんかの古典ダンスミュージックを指す「ホンキートンク」が由来だとおもう).

この「Danceuse」や「Dancing」というキーワードとサイクリングがそもそも持つ高揚感・陶酔感をしてbbucはoutdoordiscoというコンセプトを掲げた(と解釈している).そしてbbucのdummy magとのコラボレーションのステートメントのかなり感覚的で音楽的なかんじ.こういうとこからしてもbbucの半ば強引なサイクリングとダンスミュージックのクロスオーバーは「2018年のアーバン・アウトドア・ライフ」的に解釈できるものなんじゃないかなとかんじてしまう.ていうかそもそも2つの円が並んで回るものに親和性がないわけがない.

ただbbuc すごくいいんだけど関税が…

2018年のベスト

Music

けどベスト・オブ・ベストはこれです.

ことし日本盤が出たってのと11月にあったフェスで単独来日があったから2018年の一枚としてもいいかなとおもいます(実際本国でのリリースは2017年).

Book

Other

これは2018 Advent Calendar 2018の第17日目の記事です.昨日はbasteiさん,明日はdannna_oさんです.

それではみなさま よいお年を

nbqx xoxo

Sign up for free to join this conversation on GitHub. Already have an account? Sign in to comment