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@nishio
Created January 21, 2025 06:08
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"もし、たかまつ委員として異なる経済見通しに基づいて年金制度が持続可能でないと評価するのであれば、ぜひその根拠を教えてください。"に関して深く考えて回答してください

第3回社会保障審議会年金部会 議事録 https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_0508_00001.html


(o1 Proの回答)

以下では、「もし、たかまつ委員として異なる経済見通しに基づいて年金制度が持続可能でないと評価するのであれば、その根拠は何か?」という問いに対して、考えられる視点や論点を整理します。なお、たかまつ委員ご本人は「年金が破綻するとは考えていないが、将来世代の給付水準・納得感をより高める見直しが必要だ」という趣旨の発言をされています。そのうえで「万一、別の経済見通しから“持続可能でない”と考えるとしたら、どのような根拠が想定されるか」を、あえて掘り下げる形の回答となります。


1. 前提:公的年金制度は“破綻”と“給付水準の低下”が混同されやすい

  • 日本の公的年金制度は、財政検証(5年に1度)やマクロ経済スライドをはじめとする自動調整機能などによって、単純に「お金が尽きて給付不能になる(破綻)」というリスクは原則かなり低く抑えられています。
  • 一方で、高齢化と出生率の低下を踏まえると、将来の給付水準をどこまで維持できるかは大きな課題です。「年金が“破綻”はしないが、予想よりかなり少ない額に落ち込むのではないか」という見方から“不安”を抱く若者も多いのが現状です。

よって「持続可能でない」と言う場合、

  1. 本当に制度そのものが維持不能(給付原資が枯渇して破綻)という意味
  2. 給付水準が大きく下がって、国民生活を支える役割が果たせないという意味
    のどちらを主に指しているか、整理が必要です。

2. 「異なる経済見通し」に基づく具体的な論点

異なる見通しから「現行制度のままでは持続可能でない」と言う場合、次のような要因・前提を通常の政府試算(財政検証)より厳しく置いている可能性があります。

2-1. 成長率・賃金上昇率の低迷

  • 財政検証では複数ケースを設定し、実質賃金や名目賃金がどの程度伸びるかが将来給付の大きな決定要因となります。
  • 極端に経済成長が低迷し、現役世代の賃金や雇用が伸び悩むシナリオを想定すると、賃金上昇や雇用拡大が十分に見込めず、年金保険料収入も伸びない → 将来の給付水準が大幅に下振れする → 実質的に制度が成り立ちにくい、と評価される可能性があります。

2-2. 物価や賃金スライドによる調整が想定以上に機能しない

  • マクロ経済スライドは名目下限(物価・賃金が下落しそうなときに、一定以上は下げないルール)があるため、デフレ局面や極端な低インフレが長期化すると、調整が十分働かずに将来世代の給付水準が下がり過ぎ、世代間不公平が拡大するおそれがあります。
  • こうした調整メカニズムが「結果的に持続性を損なうほどの不公平感」を生むと見れば、「経済前提が崩れたら制度が維持できない」という見方につながり得ます。

2-3. 出生率・外国人流入の下振れ

  • 最新の将来推計人口(2023年3月公表)では、以前よりも外国人の流入超過数が大きく見積もられ、人口減少がやや緩和される試算になっています。
  • しかし「今後、外国人労働者が思うほど来ない」「出生率がさらに予想以上に低下する」といった厳しい前提に立つと、ますます少ない現役世代で多くの高齢世代を支えることになり、給付と負担のバランスが大きく崩れる可能性があります。

2-4. 未加入・免除者の増加や非正規雇用のまん延

  • 被用者保険の適用拡大が進んでも、企業側の協力や社会保険料負担の問題などにより、実効的に加入する人が増えないリスクが考えられます(偽装フリーランス、非常に短時間労働へのシフト等)。
  • 結果的に保険料負担の裾野が十分広がらず、想定していたほど給付財源を確保できなくなるシナリオを想定することもあり得ます。

3. 上記の「厳しめシナリオ」を想定したうえでの「持続不可能」議論

もし、たかまつ委員が「政府試算とは異なる悲観的前提を置けば、年金は十分な給付水準を保てず、事実上制度が立ち行かなくなる(=持続可能でない)」と評価するなら、主に以下の根拠が整理されると考えられます。

  1. 前提となる成長率・賃金上昇率が財政検証のケースI~IIIよりも大幅に低い
    • 例えば「名目賃金がごく僅かしか伸びず、物価も下がりやすい状況」が長期化すると、保険料収入が伸び悩む一方、名目下限措置で給付の調整が思うように進まず、積立金の取り崩しが早まる。
  2. 出生率や外国人流入見通しが下振れして、国民全体の高齢化負担が想定以上に急速に高まる
    • 外国人が期待ほど増えず、現役世代の総数が激減すると、給付の総コストをまかなう負担力が足りず、基礎年金部分をはじめとする再分配機能を維持できなくなる。
  3. 適用拡大や負担増の改革が社会的合意を得られず未実施で、“もう変えられない”状態で受給者ばかり増える
    • 制度改正を怠って先送りすると、後になって急激な負担増・給付抑制が必要になり、その調整コストが大きくなりすぎる。あるいは調整が政治的に不可能となり、制度として機能不全に陥る可能性。

4. まとめと留意点

  • 公的年金制度はマクロ経済スライドなどで財政的に“破綻”しにくいよう設計されています。しかし、「将来の給付水準」や「世代間・世代内の公平感」を維持できるかは、経済・人口動向と制度改革のタイミングに大きく左右されるのも事実です。
  • したがって、「持続可能でない」という評価をする場合は、(1) 経済低迷や少子高齢化が深刻化する悲観的な前提(2) 将来的な改革がうまく進まず合意形成に失敗する政治的リスクを同時に想定している可能性が高いといえます。
  • ただし、たかまつ委員ご本人は「破綻する」と明言しているわけではなく、「将来不安を抱く若者が納得できる制度や広報が必要」「今のうちから改革すべき」といった趣旨で発言されています。実際に年金制度そのものが機能不全になるほどの破綻リスクを訴えているわけではない点に留意が必要です。

最終的なポイント

  • 結論として、「たかまつ委員として別の経済見通しに基づいて年金制度が持続可能でないと評価する場合」は、上記のように財政検証より悲観的な人口・経済前提政治的失敗シナリオを組み合わせ、「十分な給付が到底期待できず、国民の合意を得た制度運営も困難になる」ことを理由に挙げると考えられます。
  • 一方、現行の仕組みを前提にした政府試算(複数ケース)では、成長率や労働参加が大幅に落ち込むケースでも「年金給付の水準は下がるが、破綻には至らない」姿が描かれています。そのため、本当に「持続不可能」とみなすかどうかは、どこまで厳しい見通しを置くか、あるいはどの給付水準を“持続可能”とみなすかにかかっていると言えるでしょう。
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