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September 8, 2017 09:40
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「困ったな。候補がいなくなってしまったぞ」 | |
先日、政治資金の使い込みがマスコミに報道され、エム代議士が失脚してからというもの、エヌ氏率いる政府第一党ではスキャンダルの嵐が吹き荒れていた。 | |
高度に発達した監視機能や盗撮により公人のプライバシーは完全に無視され、不倫、酒に酔っての暴力、立小便など、少しでも道義にもとる行動があればすぐに報道され、対立党派や国民がよってたかって社会的に抹殺してしまう。 | |
そしてついに彼の党の公認候補は全員、選挙への出馬取り消しを余儀なくされてしまったところだった。 | |
「先生、いい考えがあります」 | |
「ほう。聞かせてもらおうか」 | |
彼の秘書の連れてきたという博士は、傍らにいるスーツの青年を指さした。 | |
「こちらは我々が開発した国会議員用ロボットです」 | |
「なんと。まったく人間と見分けがつかないな」 | |
「高性能の人工知能を搭載し、世論・過去の事例などのデータベースと接続して、自動的に国民の期待に沿った政策・公約を設定し、汗もかかずに街頭演説をこなします。何より私生活がありませんから清廉潔白ですよ」 | |
「それはいい。さまざまな容姿のタイプのロボットを揃えてくれ」 | |
かくして、エヌ氏の第一党は選挙で勝利を収めた。人間とまったく見分けのつかない、人当たりのいい笑顔の青年、見目麗しい女性の形をしたロボット議員が何人も誕生したのだ。しかし、彼らロボット議員が共通で接続しているデータベースにバグがあることが判明して... |
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