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『第16回 SuperCollider勉強会 in 名古屋』用の資料

ホケットとマルチチャンネル

2014-05-01 第16回 SuperCollider勉強会 in 名古屋

Hocket

http://en.wikipedia.org/wiki/Hocket

ひとつのメロディーを、複数の奏者が分担して演奏する。

かわりばんこに音を出す。語源は「しゃっくり」。

  • 中世のホケット (ホケトゥス)
    • Hoquetus I - VII バンベルク写本より (1260-1290 パリ)
    • ギヨーム・ド・マショー (1300頃-1377 仏)「ダヴィデのホケトゥス」
  • ウェンディ・カルロス
    • 「エレクトロニック・ポインティリスム」技法 (1969)
      • トラック数やアナログシンセの数を節約する目的も
  • 現代音楽のホケット
    • 近藤譲「老人のホケット」(1979)
      • 第二声部は、上声部の線への影付け (ディレイ的)
    • 近藤譲「言葉」(1986)
      • 徹底した音の受け渡し
  • コーネリアス
    • Sensuous (2006)

ホケットとの出会い

近藤譲「視覚リズム法」(1975)

  • 5楽器のための室内合奏版と、後に出版されたピアノ版は、同一の音。
  • ホケット的に書かれたものを、一台のピアノで弾いている。
  • 「合奏」に対して「散奏」― 近藤譲著「線の音楽」(1979)
  • ふたつの線―間遠い線(低音)と持続するメロディー
  • 聴者だけでなく、奏者の音楽体験も変化する。
  • 結果として、ホケットと似たものになっている。―「伝統というもの」(1984)

よく似た技法

  • シェーンベルク「音色旋律」

    • ヴェーベルン編 バッハ「6声のリチェルカーレ」(1935)
      • ウェンディ・カルロスに似ている
  • プリペアド・ピアノ

    • ジョン・ケージ「プリペアド・ピアノのためのソナタとインターリュード」(1946-1948)
      • メロディーの中に、リズムが感じられる

記憶とホケット

短いスパン(フレーズ)での、音のあり方

記憶を持つ音

  • 過去と未来がある音。連なる音。
    • 流れるようなメロディー、周期的なリズム。
  • 安定している、安心して聴ける。
  • 次第に退屈になる(こともある)。

記憶を持たない音

  • 過去も未来もない音。孤立した音。
    • 表現主義の無調音楽
    • 偶然性の音楽
    • 即興音楽 (ノン・イディオマティック・インプロヴィゼーション)
  • 音そのものに、存在感と生命力が感じられる
  • スリルがある。わくわくする。
  • 馴染みがない。苦痛。理解できない(こともある)。

発声位置や音色が変化すると

  • 記憶を持つ音のなかに、記憶を持たない音が現れる。
    • 音がそこで孤立する。リズミカルになる。
  • 流れるようなメロディーにスリルを与える。
  • 周期的なリズムにサプライズをもたらす。
  • 音に生命力を与え、退屈を回避する。

退屈とホケット

長いスパン(楽曲)での、音のあり方

退屈しないように

構造か聴覚か

  • 構造的に退屈を回避する
    • 音楽理論(和声法、対位法、ジャズ理論など)に基いた構成
    • 組織的に音を配置する
    • メトロノーム的な時間に支配される
  • 聴覚的に退屈を回避する
    • 突然の変化 (ホケット、ダブなど)
    • ゆっくりと次第に変化 (ミニマル、ドローンなど)
    • 時間の区切りに束縛されない

ホケットの特徴

あくまで聴覚的

  • 時間に影響を与えない。
    • 三分の曲は、ホケットでアレンジしても三分。
    • 時間をそのままにして、音を空間に描画する感覚
  • 音数が増減しない。
  • 音程に影響を与えない。
  • 音の強弱が変化しない。
  • 他のパラメータや理論に束縛されないので、いろんなタイプの音楽に使える。
  • 音律主体の音楽に、音響的要素が追加できる。

マルチチャンネル

マルチチャンネルなら、ホケットを効果的に表現できる。

ここでは、

2ch →ステレオ

4ch →サラウンド

ではなく

2ch →2つの発声体

4ch →4つの発声体

として考えてみることにする。

Linux での 4ch 設定

まず、USBオーディオからscの音が出るように設定して、サーバをブートする。

次に、コンソールで、alsa に内蔵サウンドとUSBオーディオの両方が認識されているのを確認する。

$ aplay -l
**** List of PLAYBACK Hardware Devices ****
card 0: ICH5 [Intel ICH5], device 0: Intel ICH [Intel ICH5]
  Subdevices: 1/1
  Subdevice #0: subdevice #0
card 0: ICH5 [Intel ICH5], device 4: Intel ICH - IEC958 [Intel ICH5 - IEC958]
  Subdevices: 1/1
  Subdevice #0: subdevice #0
card 1: UA25 [UA-25], device 0: USB Audio [USB Audio]
  Subdevices: 0/1
  Subdevice #0: subdevice #0

この場合、内蔵サウンドが card 0: ICH5 [Intel ICH5] として認識されている。

次に、card 0 を alsa_out 経由で jack から接続できるようにする。

$ alsa_out -d hw:0 &
selected sample format: 32bit
delay = -901

sc と card 0 を jack で接続する。

$ qjackctl &

qjackctl の Connect ボタンを押すと、配線の GUI が表示される。

SuperCollider - out_3, out_4 を、alas_out - playback_1, playback_2 に結線する。

sc 上で、音が出るか確認する。

{Out.ar([2, 3], SinOsc.ar([220, 880], 0, 0.1))}.play;

SuperCollider での実例

Pbind の instrument にパターンを代入する

通常

p = Pbind(*[
    instrument: "piano"

ホケット

p = Pbind(*[
    instrument: Pseq(["piano", "guitar"], inf)

配列を作る

~instrument = ["ch0", "ch1", "ch2", "ch3"];
~instrument = (0..3).collect{|i| "ch" ++ i}; // 上と同じ
~instrument = ~midinote.collect{|i| "ch" ++ (i % 4)}; // 音程と関連を付ける

配列を操作する

~instrument = ~instrument.reverse;
~instrument = ~instrument.scramble;

各種パターン

~inst_pattern = Pseq(~instrument, inf);
~inst_pattern = Prand(~instrument, inf);
~inst_pattern = Pshuf(~instrument, inf);

デモ

テンポを遅く bpm=60

  • 音をつなげるホケット (Pseq)
  • 音をばらけさせるホケット (Prand, Pshuf)
  • 特定の音を孤立させる
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