Skip to content

Instantly share code, notes, and snippets.

@yingtai
Last active December 19, 2015 17:28
Show Gist options
  • Save yingtai/5991172 to your computer and use it in GitHub Desktop.
Save yingtai/5991172 to your computer and use it in GitHub Desktop.
大全1巻2章, 「フレーゲ的意味論の基礎」.

2.1 意味と像

  • 語の意味 ≠ 心的イメージ (mental image). "赤" の意味 ≠ 赤の心的イメージ.

ex. "5" や (一般的な) "三角形" に相当する心的イメージはない.

フレーゲの見解: 例えば "赤" の名前が指すものは主観的な印象ではなく、客観的な性質である. "純粋に直観的なものは伝達不可能."

現代哲学では "私的意味" と公共的な領域の区別の存在は疑わしい.

これに関する決定的な批判: 後期ウィトゲンシュタイン. 心的イメージは実在する絵などと同じく意味を持たない. (全てを公共の領域に引きずり出す作戦)

2.2 文脈原理と合成原理

  • 3つの原則

    1. 心的なものと論理的なもの, 主観的なもの (das Subjective) と客観的なもの (das Objective) をはっきりと区別する.

    2. 語の意味は文という関連の中において問われるべきである. (文脈原理)

    3. 概念 (Begriff) と対象 (Gegenstand) の区別を念頭に置く.

2は語の意味を心的イメージとしない根拠.

語の意味が表彰不可能であることは, 語に意味を帰せられない/語が使用できない ことを意味しない.

"文が全体として意義 (Sinn) をもつならば, 文の部分も内容を得る" → 語の意味は, 文の意味への寄与に他ならない.

(注: 「文脈原理」は必ずしも適切な呼称ではない. というのも, 後に述べるように, これは個々の文の理解のためのコンテキストに関する原理ではない.)

  • 文脈原理の重要性

    1. 語でなく文が中心的な役割を果たすこと.

    ウィトゲンシュタイン: 文を発することこそが言語ゲームの "指し手 (Zug)" を構成する.

    1. 文の意味と語の意味の関係.

    意味の理論の順序: 文の意味の一般的特徴付け → 語のカテゴリーに応じた語の意味の特徴付け. (ここで, 語の意味は文の意味への寄与から考える.)

    1. 文の意味は何に存するか.

    『論理哲学論考』 4.02-4.027, およびフレーゲの論文における明確な定式化と解決.

    "文の構造が思考の構造の像 (Bild) となるように, 文の各部分に対応して思考の部分を区分することができる"

⇒ 語の意味的寄与によって文は理解できる.

→ 合成原理: 文の意味は語の意味と文の構造 (= 論理形式) によって決定される.

……文脈原理と矛盾しないか?

→ ダメットの説明: 文脈原理は意味の一般的説明, 合成原理は個々の文の理解に関わる.

例: "0x11", "o77":

  • 全体の意味 (数の表記への寄与) について, <"0x" や "0"> と <"11" や "77"> の意味が定まる. (文脈原理)

  • "0x" や "o" の個々の意味 (n進数) が文の意味を決定する. (合成原理)

2.3 意義 Sinn と イミ Bedeutung

2.3.1 区別の導入

単称名: refer to の機能. (referent, Träger (bearer))

→ 同一性 (Gleichheit) の問題.

(1) 明けの明星 = 宵の明星

(2) 明けの明星 = 明けの明星

(1) と (2) は異なる認識価値を持つ. (2) は分析的 (analytisch) なのに対し, (1) は認識を拡大するのに役立つ.

→ 同一性はもはや記号の間の関係ではない.

解決法: 「単称名の意味はその指示対象を指すことに尽きる」という前提の否定.

イミ: 単称名の指示対象

意義: 「表示されたものの与えられる様態」→ ?

2.3.2 イミと実在

全てがイミに尽きるという主張 ……以前のフレーゲの著作に見いだせないわけではない.

→ もっとも素朴な例: 「心的イメージ」が心理主義において果たす役割をすべて実在の物に負わせたもの. (明らかに文脈原理に抵触)

(フレーゲの場合は事実や事態についての形而上学的思弁からほとんど無縁だった: 論理的推論の妥当性はほとんどイミの議論で足りる. (truth-value の決定))

(合成B) 文のイミは, それを構成する部分表現のイミと文の構造によって決定される.

真理値がここでのイミとしての資格を有する.

(文脈B) 語のイミは, それが現れる文のイミ (= 真理値) への寄与である.

フレーゲの取った道: 単称名のイミはその指示対象であるとする. (実在論的)

2.3.3 イミから意義へ

『算術の基本法則 第1巻』 32節.

ここで採用する伝統的解釈: 文の意義をその真理条件 (truth condition) と同一視する. → 文の真偽さえ前提すれば文の理解の一般的特徴づけが可能という洞察.

あるSを理解するとは, Sの真理条件を知ることである. 意義とはSを理解するときに知られているもの.

指摘されるべき2点:

(1) 意義論はイミ論を前提する.

(2) 意義は理解と相関する.

(文脈S) 語の意義は、それが現れる文の意義 (= 思想, 真理条件) への寄与である.

(合成S) 文の意義はそれを構成する部分表現の意義と文の構造によって決定される.

↓帰結

(合成S') 文の意義の理解はそれを構成する部分表現への理解と文の構造への理解によってなされる.

2.3.4 意義からイミへ

(S→B) 意義はイミを決定する.

文の場合: 真理条件は (言語外的な要因をまって) 真理値を決定する.

(PB) いかなる文も真または偽のいずれかである. ⇔ (B2) いかなる文もイミをもつ.

→ 古典述語論理の基本的性格. 排中律と切り離せない.

単称名の場合: それが表現する何らかの条件が指示対象を決定する. (ex. "日本最北端の岬" → 宗谷岬)

(EA) いかなる単称名も指示対象をもつ. Fa ┣ ∃xFx

⇔ (B1) いかなる単称名もイミをもつ.

(B1), (B2) ⇒ "適正に形成された名前はつねに何かをイミしなければならない"

問題: 例えば「現在の日本国大統領」という表現は意義のみを有し、イミを欠くのではないか?

フレーゲはこれをあまり真剣に受け取らなかった.

  • 理由1: フレーゲの意味論は自然言語のために立てられたものではない. (フレーゲはこれをむしろ自然言語の欠陥と考えた)

→ 反駁: 自然言語を意味論の適用対象から除外するのは満足できる結果ではない. (さもなくば, "明けの明星" などを用いた説明は比喩に終わってしまう)

  • 理由2: イミを欠く言語表現は虚構的文脈での出現と同化しうる.

→ 反駁: 必ずしもそうではない. 例えば, 「もっとも遅く収束する数列」はイミを欠くが, これについて論じた数学者は詩人と同じ職業に従事していたのだろうか?

答え: 言語理解の相関者としての意義と, 言語から実在への通路をつけるものとしての意義には分裂がある.

2.4 陰影と力

残りの2つの意味の要素: 陰影と力.

  • 陰影

陰影の例: 「そして」と「しかし」の区別.

力の例: (a) PならばQ, (b) P, (c) Q のとき, (a) の P は主張を持たず, (b) の P はもつ.

(フレーゲの説明: 「判断可能な要素」と「肯定」の2要素が存在する. "┣A" …… "|" が肯定, "-" が判断可能性.)

一般化.

| 力の理論  | 個々の言語行為がどのような種類のものか  | | 意義の理論 | 個々の言語行為がどのような内容をもつのか |

Sign up for free to join this conversation on GitHub. Already have an account? Sign in to comment