年末に映画『マトリックス レザレクションズ』を視聴したので、忘れないうちに感想を書いておきます。 本編だけでなくシリーズ全体のネタバレも含むので注意してください。
ネタバレ注意
Wikipedia にはすでにあらすじが載っているので、観たけど忘れた人・観てないけど知りたい人はこちらを参照してください。 https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%9E%E3%83%88%E3%83%AA%E3%83%83%E3%82%AF%E3%82%B9_%E3%83%AC%E3%82%B6%E3%83%AC%E3%82%AF%E3%82%B7%E3%83%A7%E3%83%B3%E3%82%BA#%E3%81%82%E3%82%89%E3%81%99%E3%81%98
- おもしろかった
- 3 部作の最後で、ネオもトリニティも死んでしまったのでどう続くのか不明だったが、きれいにつなげてくれた。
- とにかくセルフオマージュ・メタネタ・パロディが多い
- 以下のような考察なしでアクションだけでも楽しめるよ
作中でトーマス・A・アンダーソン氏が同僚とゲームとしてのマトリックス 4 の制作について議論するシーンがあります。 その会議で出ていた「マトリックスとはこういうもの」というアホな同僚たちの発言があります。
- 破壊こそマトリックス
- 哲学や神秘こそマトリックス
- アクションこそマトリックス
- 特にバレットタイム!
- etc
これを映画のメタ視点で考えてみれば「いやいや、それだけがマトリックスのテーマではないんだよ」という、映画製作者からのメッセージではないか思います。 では、マトリックスの主題とはなんだったのか、それについて考える必要があると思いました。
愛 です。 今作はマトリックスのテーマが「愛」ということの再確認だと思います。 これは 1 作目からちゃんと描かれているし 3 作の中で何度も言及されます。
1 作目でもネオが選ばれしものなのではなく、トリニティがネオを選択する、愛が成立することが鍵です。
テーマのもうひとつは、愛とつながってますがトランスジェンダーだと思います。 これは Netflix のインタビューでもそう言ってますね。 https://www.youtube.com/watch?v=adXm2sDzGkQ
ネオがマトリックス内でバイナリーというゲームを開発していたのは、情報工学的な 0 か 1 かというバイナリーの意味だけでなく、セクシュアリティのバイナリー (とノンバイナリー) 的な意味があると思います。 以前の 3 作で覚醒したネオが、元の鞘に収まって力を失ってしまったということだと思います。
全体としてはトランスジェンダーの話題そのものは少ないので、トランスヒューマニズムとしてトランスジェンダーを包含している作品という気はします。
今作では「飛ぶ」「ジャンプする」という能力をネオも周囲も能力を失っていて、やはりトリニティが鍵になりました。 飛ぶだけでなくジャンプも描かれていないのはちょっと不思議だなとは思いましたが、以前の 3 作でビル間のジャンプを達成できていたのは
- ネオ
- トリニティ
- モーフィアス
しか描かれていなかったし、モーフィアスは死亡しているので不自然というほどではないかもしれません。 ビル間をジャンプして移動するというのは 0, 1 の間を超えるレベルの覚醒を指していて、飛ぶ能力というのはそういう成約そのものから自由になるレベルの覚醒だと思います。
トリニティこそが鍵なのにそれをまったく理解しておらず、ネオにばかり執着していたのが敗因になりました。 負けたあとも女性蔑視的な発言を繰り返していたし、そういう人々への批判が含まれていると思います。 虹でも描いてたらいい!みたいな発言もトランス的な意味で解釈できると思います。
ワーナー・ブラザーズ
まだよくわかりません。 I/O, 1/0 と掛けているという点しかわかっていないです。 あるいはユダヤ教やギリシア神話と関係があるのかもしれません。
- なぜ栽培しているのがイチゴなのか・「イチゴの次はブルーベリーを育ててみたい」という発言などは、おそらく赤いピル・青いピルの比喩かな
- スピンオフで会おうというのはやりすぎ・メロビンジアンたちの姿が変わりすぎていて名前と顔が一致しない
- やっぱりモーフィアスやスミスも元の配役で出てきてほしかった〜
- ボスは時間操作系でバレットタイムも伏線としてちゃんと出てきているのも楽しかった
- 何らかのすごい力があったら「これは発電に使えるぞ!」と考えるのは機械も同じというのはおもしろい。ラブパワー発電機
- 鍵屋っぽいのは出てきたけど鍵屋じたいは不在なのは悔しい
- SF っぽい日本というと、どうしても新幹線が出がちなんだな