- 2014-06-23 (月) 10:00-11:50
- 新横浜プリンスホテル
お土産は例年通り羊羹と乾電池。お土産とは別に低カリウムレタスの配布もあった。新横浜会場ではレタスは2000袋用意されており、数は不明だがほかのサテライト会場でもレタスの配布があったらしい。レタスは90グラムのパッケージで定価は500円。
株主数は13万6千名で議決権は205万口。事前の議決権行使と株主総会出席者の合計は4万4千人で議決権147万口。よって定足数を満たす。
法令と定款に従っており会社の現状を反映していると報告。
映像による事業報告を10分くらい。
- 事業内容
- テクノロジーソリューション: サービス、システムプラットフォーム
- ユビキタスソリューション: パソコン/携帯電話、モバイルウェア
- デバイスソリューション: LSI、電子部品
- 業績
- 売り上げ4兆7624億円、営業利益1425億円、経常利益1406億円、純利益486億円
- LSIや携帯電話などの特別損失が593億円
- 株式の売却などで特別利益が115億円
- テクノロジーソリューション
- ネットワークプロダクトの増収効果などで351億円の増収
- ユビキタスソリューション
- 携帯電話の大幅な減収で221億円の営業損失
- 企業向けのモバイルソリューションへのシフトをしていく
- デバイスソリューション
- パナソニックおよび日本政策投資銀行とで構造改革に基本合意
- 円安により黒字転換
- 連結貸借対照表
- 会計基準の変更により年金関係で負債が増加
- 配当
- 中間0円、期末4円
山本社長から短く報告。
2013年3月から日本基準から国際会計基準に適用した。
山本社長から10分強くらいのプレゼンテーション。
- 課題
- ICTは社会インフラとして欠かせない存在となっている。ICTで世界の変革をリードするために、構造改革をし遂行能力を高める。新たな「成長戦略」。
- 中期経営計画
- 平成24-25年度は構造改革で平成26-28年度は成長戦略
- モダナイゼーション、ビジネスイノベーション、ソーシャルイノベーション
- ビジネスイノベーション
- 保険会社でのビッグデータ解析により成約見込みの高い顧客を高精度に抽出
- 設備保守点検でビッグデータ分析とウェアラブルデバイスの活用
- ソーシャルイノベーション
- 農業は現場から経営までの農業経営を支援
- 次世代クラウドプラットフォームの開発を進めている
- 業績目標
- 日本では4%の成長を目指すが海外では8%の成長を目指す
- 連結フリーキャッシュフローを144億円から800億円にする
- ビジネスイノベーション1000億、ソーシャルイノベーション500億、グローバルデリバリー強化500億の投資予定
- グローバルマトリクス体制により垂直統合力を各リージョンで生かす
業務執行取締役よりも非執行取締役を多数用意することでアドバイスをもらえるようにしている。非執行取締役6名のうち4名が社外取締役。
現在取締役の加藤和彦を常勤監査役とする。
約70分。サテライト会場からも質問を受け付けるようになってはいたが、総会会場のみからの質問のみであった。
業績も株価も配当も去年に比べてよくなったためか、質疑は割とおとなしめ。昨年に比べて山本社長はだいぶ堂々としていた。
- 質問者: 富士通の株を長く持っていて、高額配当を期待してる。昨年は無配であって心配していた。今は株価が上げってきており復配もした。だが株主還元はまだまだ少ない。来年は純利益が上がり配当予想を8円と新聞に書かれているが、それでも配当性向が低い。
- 質問者: グローバル展開が重要とのことだが、グローバルマトリクス体制の内容が分かりにくい。株主にとってどんなメリットがあるのか説明してほしい。
- 山本社長: 昨年は配当を出せなくて申し訳ない。今年は復配したが、満足いただける配当ではないと認識している。自己資本比率を30%台にもっていき、納得のいける配当にしていきたい。
- 山本社長: 日本を含む海外の地域をフラットの立ち位置にした。各ソリューションを各地に均一に提供する。日本だけではなく海外での売り上げを伸ばしていけるようになる。
- 事業報告には復配できる程度に業績が改善したと書かれている。復配の財源が子会社からの受取配当となっているように見える。自己資本比率が20%を割っているのだから復配できるような状況ではない。
- 山本社長: 復配できるかの判断は剰余金の量による。剰余金は純利益から出るもので、単独での今年度純利益の増加は子会社からの配当によることが確かに大きい。連結では純利益が出ており配当を出せると判断した。
- 質問者: グローバルマトリクス体制で海外を強化されていくとのことで、海外拠点の整理統合で損失を計上されたとのこと。グローバル化を強化していくというのに社外取締役に外国人がいない。何らかの背景があるのか。パナソニック、ソニー、日立、NECなどは外国人の社外取締役が活躍している。グローバルに活躍していくには外国人の社外取締役からのアドバイスが必要である。
- 山本社長: 社内執行側の体制を強化している最中で常務執行役には外国人がいる。取締役は今後の可能性を含めて検討する。
- 質問者: 7年半前に富士通の株を買った。自分はトップの顔を見て買うことにしている。神奈川県警などで社会問題に対してもICTを適用していってほしい。役員は報酬を下げてでも利益を出せ。
- 山本社長: 検討する。
- 質問者: グローバル化を推進していくと為替レートの影響を大きく受けるようになる。今回は円安で増益であったが、為替レートがどれくらい寄与したのか。来年度の為替レートのターゲットは。
- 山本社長: 為替レートに対してはシビアに見ている。ドルは輸出入が拮抗しておりバランスが取れている。ユーロはバランスが取れていないので注意が必要である。売るものを現地で作ることでレートの影響を受けないようにしていこうとしている。
- 加藤CFO: パソコン部材の輸入が多かったためレートが1円変わると3億円ほど変わる。想定レートはドル100円、ユーロ135円としている。ドル1円安で5億円ほどの影響が出る見込みであり、他社に比べるとレートの影響は軽微である。
- 質問者: ビッグデータ、介護・医療について日本の社会全体がどう進んでいくか関係するため大きなビジネスチャンスであると思っている。ビッグデータ、介護・医療について具体的な構想を聞きたい。構想に基づいて将来の売り上げの割合を聞きたい。
- 山本社長: ビッグデータは非常に注目されているジャンル。全面的にテクノロジーを磨いてビジネスチャンスを広めたい。応用分野が多岐にわたっており、今後はすべてのビジネスでビッグデータが使われるようになる。たとえば農業では日照状況などのデータに農家のノウハウを加えることで、農業の生産性を上げていくことができる。データをどのように使っていくかが重要。繰り返すが、すべてのビジネスで使われていくと考えてもらいたい。
- 山本社長: 富士通は医療に長年携わっている。電子カルテは30%を超すトップシェア。最近医療分野で注目されているのは健康寿命である。多数の患者の治療履歴やゲノムのビッグデータにより、患者ごとに最適な判断をできるようにしていく。
- 質問者: STAP 細胞問題で経産省の人が「理研」を「利権」と誤変換するほど理研には利権問題がある。予算を獲得したら論文を出さなければならないので、研究者は論文をねつ造をしている。35歳までに成果を出さないとポスドクが追い出されてしまうからだ。理研のスーパーコンピュータはハードはよくてもソフトがよくないと言われている。富士通は杜撰な理研との関係はどうなっているのか。
- 山本社長: スーパーコンピュータはコンピューティングの頂点に君臨するものでICT事業を行う際に必須のもの。ある種の国力ともいえ、各国が力を入れて開発している。富士通も国力のためにと思って開発している。京は理研だけではなく他の機関でも使ってもらっている。今後のスーパーコンピュータの出荷時期は我々だけでは決められないが、今後も継続して開発していく。もう一度言う。スーパーコンピュータは国力であり、今後も続けていく。
昨年の質問 0125 も参照。
- 質問者: 個人向けパソコン市場が減少傾向にある。アフターサービスについての質問でもあり半分要望をしたい。自分は大手量販店でパソコンを見る。富士通のパソコンは性能が良くてもいまいち売れない、アフターサービスの面で他社に劣っているからだ、と店員が言う。故障した場合に東芝やパナソニックは都内で即日直してもらえるが、富士通の場合は福島まで持っていくので1週間かかる。電話サポートは1年目は無料だが、翌年以降は2000円もかかってしまう。他社は2年目以降も無料だ。昨年の株主総会でS副社長 (当時の佐相副社長) に同じことを言ったら、頓珍漢な回答が返ってきた。マーケティングのトップがこれでいいのかと心配だ。今度は社長にお願いしたい。翌年以降も電話サポートを無料にしてほしい。都内にサポートセンターを設置してほしい。
- 質問者: 2つ目の質問は、携帯電話事業で構造改革をしてもうまくいっていないのはなぜか。
- 質問者: 質問ではなく確認なのだが、1分で終わるのでさらっと流してください。
- 山本社長: 手短にさらっと流してください。
- 質問者: 野副さんは最高裁で審議中とのこと。担当審議官に電話して確認した。裁判に富士通が敗訴したら、間塚会長と山室監査役を即刻に退任させてほしい。
- 山本社長: 質問が3つになってしまったが、3つ目の質問については、仮のことなので答えられない。敗訴することはないと思っているが、敗訴したらその時にどうするかを検討する。
- 山本社長: パソコンのサポートについてはビジネス全体を見ながら慎重に検討する。
- 山本社長: 携帯ビジネスは、2012年までは富士通への利益に検討していたが、2013年は市場変化に追随できなかった。構造改革で利益改善をしていこうとしている最中で、2014年は確実に黒字に転換できると思っている。ドラスティックな市場変化が起きないことを祈っている。
- 質問者: IFRSの任意適用について。のれん償却の評価で損益の振れ幅が期によって異なることになる。どのように考えているか。
- 山本社長: IFRSは日本会計基準に比べてのれん償却の仕方が最大の違い。毎期ごとにシビアに評価していく。毎期ごとに評価することになるため、M&Aを積極的に行えるというメリットもある。
- 質問者: らくらくホンがフランスで好評であるという記事を見た。富士通の名前の由来であるシーメンスと連携してグローバルに展開していくということを素人として提案したい。
- 山本社長: シーメンスは関係が深い会社。具体的な関係は今でも続いている。Fujitsu Technology Solutions はシーメンスと合弁で作った会社。のちに FTS の株式をシーメンスから買い取ったが、シーメンスとは市場でのバッティングもなく、今でもいい関係を続けている。
- 質問者: 株主優待の制度を設けることについて考えているか。
- 質問者: フロンターレをはじめスポーツが本業に利益を出せていないのであれば打ち切ることも検討するべき。
- 山本社長: 優待を出すことよりも配当を出すことを重視したい。今後も優待はない。
- 山本社長: サッカーだけでなく、女子バスケット、アメフト、陸上もある。本業には関係ないが、スポーツを通じて社員のモチベーションアップや地域貢献をしている。2020年には東京オリンピックを通じて日本の発展に寄与したい。スポーツは本業というよりかは社会への貢献であり、ある意味では本業よりも重要である。
- 質問者: 富士通OBで今は税理士をしている。IFRSはグローバル企業では必須なので、任意適用は歓迎だ。連結決算と単独決算があるが、重要なのは連結決算であり単独決算は偽りである。単独決算の利益で復配も可能だというのはおかしい。
- 質問者: 富士通のコンピュータがあるのは池田敏雄さんのおかげである。池田さんは会社に来ずに自宅でコンピュータの設計をしていた。勤怠がよくないため人事からは目をつけられていたが、当時の小林社長によって守られることで、コンピュータの開発をさせることができた。富士通が成長してきたのは不夜城と呼ばれるほどに勤勉であったためだ。政府はアベノミクスで残業代を払わないことを検討しているが、そのようなことになっては従業員が定時に帰ってしまうことになるのではないか。
- 山本社長: 簡潔にお願いします。
- 質問者: ノー残業についてどう考えているか。
- 藤田副社長: 事業報告書にも記載してあるが、今後の配当の継続性も考慮した結果である。
- 藤田副社長: 残業代を払わないというのはホワイトカラーエグゼンプションのことであろうか。ホワイトカラーエグゼンプションは労働時間ではなく仕事の成果で測る。富士通では裁量労働制もありはするが、ホワイトカラーエグゼンプションは為替のディーラなどのように不正確な職種には向くものの、富士通の職種には現在適さないと考えている。
- 質問者: 駅から総会会場まで今年は静かに来れるかと期待したが、街宣車があったり入り口でビラを配っていたりで期待に反した。高見澤とは決着がついていないのか。
- 藤田副社長: 高見澤とは長野地区の工場閉鎖による訴訟のことである。最高裁で当社の意見が通った。正確には被告は当社ではなく、当社は第三者であるが、当社側が勝訴した。
- 質問者: FSAS の時代から株を持っている。今年度に入ってから株価が上がってきてはいるが、当時に比べるとまだ低い。ソフトバンクの孫さんは大ぼらを吹いているが、富士通は株価を将来どうしようと考えているか。
- 質問者: ソフトバンクの社外取締役にユニクロの柳井正さんがついている。社外取締役には彼のような有名な人を選ぶべきではないか。
- 山本社長: 株価は業績が正当に評価された結果というのが正しい姿。企業の成長とともに株価を上げていきたい。孫さんのように30倍とは言わない。継続的にあげていく。
- 山本社長: 今度の4名には世間で有名な方はいないかもしれない。しかし皆に専門性があり、新任の横田取締役はベルギー大使などの経験がある。
両議案とも拍手により賛成多数と認めて可決。
- 昨年の総会のメモ