ソフトウェア資産化、または資産計上とは、ソフトウェアの開発や取得にかかる費用を財務会計上、簿記上で資産として計上することです。
ソフトウェア資産化により、ソフトウェアに関する投資は単なる短期的な経費ではなく、長期にわたって価値を提供する資産として扱われます。
資産化したソフトウェアは無形資産であるため減価償却が求められ、会計・税務上も耐用年数に基づいて償却を行います。
税法上の耐用年数は一般的に5年(利用形態により異なる場合もあり)と定められており、この期間にわたって減価償却費を費用として税務申告できます。
資産計上が可能なケースはいくつかありますが、SaaSの場合は「市場販売目的ソフトウェア」として扱われることがメインのため、それについて解説します。
市場販売目的ソフトウェアでは、製品マスター完成までの費用を資産計上し、その後の機能向上にかかる費用についても、著しい改良の場合は追加計上が可能です。
つまり、開発からローンチまでにかかった人件費を資産計上することができます。
市場販売目的ソフトウェアは、見込販売数量に基づく償却と残存有効期間(3年以内)に基づく定額法償却のいずれか多い額で償却します。
具体的には、以下の2つの方法のうち多い方の金額で償却します
- 見込販売数量に基づく償却:当期実際販売数量 ÷ 総見込販売数量 × 資産計上額
- 定額法償却:資産計上額 ÷ 3年(残存有効期間)
- ソフトウェア開発費:3,000万円
- 総見込販売数量:1,000本
- 1本あたり償却額:3万円
この場合:
- 1年目に100本販売 → 償却費300万円
- 2年目に200本販売 → 償却費600万円
- 3年目に300本販売 → 償却費900万円
つまり、売上が増える(販売数量が増える)ほど、償却費も比例して増加します。
定額法なら毎年1,000万円の償却費が固定ですが、見込販売数量方式では売上に連動するため、
売上総利益率(売上−売上原価の比率)が一定の割合で下がり続けることになります。
つまり、「見込販売数量に基づく償却額の方が大きい」というのは、その年の販売実績に基づく償却額が、
定額法による償却額を上回っているという意味です。売上好調時ほど償却負担が重くなる特徴があります。
自社開発ソフトは資産計上出来るので、一円にもならないクソソフトを営々と開発してるだけのベンチャーでも開発に要した人件費を資産計上して黒字に見せることもできる
一方で、ソフトウェア使って商売するのに、作った瞬間はまだ利益出さないのに全額損金にして、以後数年間それが収益を生み出すのに資産計上されない
長い開発中の人件費を、開発完了するまで仮勘定で留めておいて1円も経費精算できないことの方が、小さいスタートアップにはしんどい
自社利用ソフトか販売用ソフトかで財務上の扱いが違うから費やした工数を厳密に数えて報告しろ